文様の17種への分類

 着物の柄など、繰り返し文様は日常生活のいたるところで見つけることができます。平面の上の文様の繰り返しのしかたは何種類ぐらいあるか考えたことがありますか。5、6種類かな。いや、17種類あります。これは数学的に群論を使って証明できます。次の17種です。

(A) 回転対称性なし。

p1

(びんがた)

pm

(やかたもん)

pg

(はなうさぎきんらん)

cm

(せいかいは)

(B) 180度回転対称性あり。90度、60度回転対称性なし。

p2

(ありそどんす)

pmm

(よしわらつなぎ)

pgg

(ふんどうつなぎ)

cmm

(たけだびし)

pmg

(しかんじま)

(C) 90度回転対称性あり。

p4

(ろくやたこうし)

p4m

(しっぽうつなぎ)

p4g

(さやがた)

(D) 120度回転対称性あり。60度回転対称性なし。

p3

(おながみつどもえ)

p31m

(びしゃもんきっこう)

p3m1

(かさねきっこうにわ)

(E) 60度回転対称性あり。

p6

(かごめ)

p6m

(あさのは)

 上では17種を区別するための数学記号とそれを代表する文様の例を挙げました。

 pmg の例、しかんじま(芝翫縞)は芝翫という歌舞伎役者(のちの三代目中村歌右衛門)がトレード・マークに使った文様です。四本の縞に環の文様で「四環」を「芝翫」に通わせたシャレになっています。
 長い間、ただ一種 p3 の例が日本の伝統文様にあったのか確認することができませんでしたが、2002年暮れに京都府立大学、 利根安見子先生、近藤誠造先生より、日本の伝統文様の p3 型の例のご指摘を受けました。両先生に感謝します。

 それでは数学のもっと詳しい説明をしましょう。

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